同じ場所、同じ環境で同じものを見て同じことを聞いていても、それを同らえているかは人によって全く違ってきます。
例えば学校で同じ先生から同じ算数の授業を受けていたとしても、数学が得意になる子もいれば、退屈だと感じる子もいるでしょう。
仕事で相手に目の前で要望を伝えたとしても、後から言った、言わないの問題になることも大いにありますよね。これももしかしたらあなたと相手のとらえ方の違いが生み出した問題かもしれません。
では、なぜこうしたものの見方の違いが生まれるのでしょう。ものをとらえるということには脳の仕組みから大きく3つのことが関連しています。
それでは一つずつ詳しく見てみましょう。
様々な情報を私たちは五感でとらえます。しかし、この五感は人それぞれ感度が違います。
眼鏡をかける必要のない正常な視力の人と近視の人、遠視の人ではとらえられる能力に差が生じます。色盲に人は色を判別できないために入ってくる情報が変わってくるでしょう。聴力も年齢によって聞こえる音の幅が変わりますし、年齢とともに小さな音が聞こえにくくなってきます。味覚も日ごろ食べているものによって変化します。
このように人によって五感の能力には差があるので、同じものを聞いたり、見たりしていても実はとらえているものは違う、ということは大いにあり得ます。
持っている知識が違うと、同じものを見ていてもそこから得られる情報は変わります。
例えば、今この文章を読んでいる方はおそらく日本語の知識を持っている方でしょう。英語しかわからない方はこの文章を見ても何が書いてあるかわからないはずです。
料理について様々な知識やレシピのアイデアを持っている方は冷蔵庫にあるものから上手に料理をアレンジして作ることができるでしょう。しかし、料理経験が全くない人はそんな人を見てびっくりします。これも知識の違いです。
昔の格言に、「名医は道ばたの雑草もすべて薬に見える」というのがあります。
知識を持っていると同じ道端の草すらも薬として使って病の治療に使えてしまうのです。
こうした知識の違いによって、同じものが人によって全く違うとらえ方をされることになります。
私たちは一人ひとり価値観が違います。その価値観は、今まで経験したことの中でとても気分を良くしてくれたものからできています。
もし自分の価値観に合う人と一緒にいれば私たちは居心地がいいでしょう。
しかし逆に価値観の合わない人と一緒にいると少しでも早く離れたいと思うかもしれません。
もし自分の価値観に合う場所にいれば、いつまでもそこにいたいと思うでしょう。
逆に居心地の悪い場所というのはあなたにとって価値観に合わない場所かもしれません。
もし自分の大好きなものを手元に持っていると嬉しくなるでしょう。
場合によってはそうした好きなものが近くにないと落ち着かなる人もいるかもしれません。
私たちはそれぞれ違った価値観を持っており、その価値観によって物事のとらえ方が大きく違ってきます。
自分と人はとらえ方が違う。それを知っているだけで人との付き合い方は変わってきます。
相手とうまくいかないことがあったら、この3つの違いについて一度整理してみるといいかもしれません。
相手か自分に病気や生まれつき、五感の能力に何かしら異常がないでしょうか?
例えば、学習障害と診断された子どもの中には学ぶ力ではなく、五感に異常があったために学習に支障をきたしていた、という子もいます。
自分と相手で持っている知識に差はないでしょうか?
仕事でも上司と部下では持っている知識や経験に差があります。上司は「わかって当然」と思っていることも実は部下は「そんなの初めて聞いた」ということもあるかもしれません。
自分と相手で価値観の違いはないでしょうか?
どんなに熱を込めて話をしても相手の価値観に合わない情報は頭に入っていない可能性があります。
そんな時は相手の興味のあるものに関連付けて話をする、という工夫が必要かもしれませんね。
とらえ方が人によって違うことを認め、相手にとらやすい形で情報を伝えることは大切です。ぜひ参考にしてみてください。